WHOが「ゲーム障害」を正式認定

「ゲーム障害」のまとめと「スマホ育児」との関連

WHO(世界保健機関)は現地時間2019年5月25日に、オンラインゲームやテレビゲームのやり過ぎで日常生活に支障をきたす「ゲーム障害(gaming disorder)」を国際疾病として正式に認定しました。「国際疾病統計と関連する健康問題の統計的分類(ICD-11)」の第11改訂を採択することに合意し、アルコール依存症などと同じ治療が必要な精神疾患と位置付け、治療研究や世界の患者数の把握を後押しします。ICDは世界の医療機関や保険会社が疾病のガイドラインとして参照している分類で、改定は約30年ぶり。WHO加盟国は今後、国内の統計などを新たな分類に基づくものに切り替えていきます。この改定は、2022年1月に有効となります。

ゲーム障害が認定されたからと言って、日本の子どもにスマホを持たせるのは危険というわけではありません。

日本の子どもたちが利用するスマホコンテンツは、YouTubeやツイッター・LINE等のSNSアプリがメインだからです。またゲーム障害の統計調査には、スマホを使用しないテレビゲームも含まれます。まずは、お子さんがスマホでどんなコンテンツを見ているか把握してください。

その上で、①声かけ、②一緒にルールづくり、③セキュリティーが大切です(^^)

ゲーム障害については、下記に詳しくまとめました(2019年5月26日現在)。

 

目次

・ゲーム障害の定義と症状
・日本と世界各国の動き

 

ゲーム障害の定義(WHO ICD-11より)と症状

ゲーム障害(Gaming disorder)(ICD11コード:6C51)
定義「ビデオゲームやオンラインゲームなどを継続的、または繰り返しプレイするゲーム行動のパターン」

特に次の症状を挙げています。

・ゲームをする頻度や時間の長さを自分で制御できない。
・ゲームの優先度が増し、他の興味や日常生活よりも優先される。
・日常生活で問題が発生しても、ゲームを継続・やりこむようになる。
・その結果、自分自身や家族、社会、教育、職業といった他の重要な生活機能に支障をきたす。

こうした症状が12カ月以上続けばゲーム障害と診断される可能性があります。なお、すべての診断要件が満たされ、かつ症状が重い場合は、12カ月未満でも診断される場合もあります。

ゲーム障害の多くは、持続的・反復的なネット接続型のオンラインゲームが原因となる場合がほとんどで、際限なく課金をして消費者金融から借金するケースもみられます。

 

日本と世界各国の動き

スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、世界的にゲームの人気は高まっています。その一方でWHOは、研究によると「ゲームをする人々における、ゲーム障害になる人の割合はほんのわずかだが、プレイ時間の長さには注意するべきだ」と指摘しています。健康や社会生活に悪影響が出ている人はまだごく一部とみられますが、ゲーム障害は各国で睡眠障害や死亡事故が報告されるなど問題化しています。

オランダの調査会社ニューズーによると、世界のゲーム市場は昨年2018年で1349億ドル(約15兆円)に達し、2021年には1740億ドルまで拡大する見通し。アメリカでは、成人全体の65%にあたる1億6400万人が日常的にビデオゲームをしているとの試算もあります。近年はオンラインゲームが普及し、利用者が課金を繰り返して長く続けるコンテンツも多く、他のプレーヤーと一緒に遊ぶプレースタイルは自分の意思でやめにくい場合があり、依存症の問題は深刻化しています。ゲーム障害が原因とみられる死亡事故はすでに起きており、CNNによると2015年の台湾で男性が3日間のゲーム漬けの後に死亡。台湾でのゲーム中の死者は、その年で2人目。韓国でも、2002年にゲームのやり過ぎによる死亡事故が発生。WHOの一部の加盟国には「ゲームと依存の因果関係を証明するのは難しく、疾病認定は時期尚早」との慎重論もあったが、多くの国は予防に向けて早急な対策が必要と判断しました。

WHOは国際的な標準となる病気の分類に加えることで、病気として診断する根拠が明確になるため、診断例が増えて研究が進み、治療や予防法の確立につながると期待しています。また患者数など正確な統計データも収集でき、各国や地域ごとの状況把握にも役立ちます。一方で患者にとっては、診断を受けることで会社や学校を休み治療に専念できるようになります。しかし世界的にみても、ゲーム障害に対応できる専門医療機関はまだ少なく、治療体制の整備や保険適用などが課題になりそうです。日本で対応できるのは治療機関は、2016年時点で20数カ所といわれています。

WHOが国際疾病として認定したことで、ゲーム会社のコンテンツ開発にも影響を及ぼす可能性もあります。日本国内でもここ数年eスポーツが盛り上がりを見せ、高校の部活動にもなり注目されています。WHOの一連の動きに応じて、日本ではコンピューターエンターテインメント協会(CESA)をはじめとした関連4団体(CESA、JOGA、JeSU、MCF)が、公正中立で専門性を持つ外部有識者による研究会(代表:坂元章氏)に調査研究を委託したこと発表。ゲーム産業の健全な発展に向けて取り組んでいくことを明言しました。

日本ではオンラインゲームを含めた、病的なネット依存が疑われる中高生が推計93万人と過去5年間で倍増(厚生労働省 調査)。利用しているのはオンラインゲームが多いですが、ゲーム障害にはネットに接続していないテレビゲームへの依存も含まれ、実態はまだ十分に分かっていません。依存症からの回復を支援する団体「ワンネスグループ」によると、ゲーム依存の相談は数年前から増え始め、中高生など10代も多いといいます。

ICDの採択を前に根本匠 厚労相は24日、「研究を進めた上で、どういう対応が必要か考えていきたい」と表明。昨年2018年6月、厚労省はWHOがICD改定を発表したことを受けて、10~20代の9,000人にゲームの利用時間などを尋ねるアンケート調査を開始。さらに、依存症の専門治療を行っている国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)に委託し、今年2019年1~3月にゲーム障害の実態調査を実施。そして現在、各都道府県や政令市で、アルコールと薬物、ギャンブルの依存症について治療と情報発信、人材育成を担う拠点病院の選定を進めています。今後は、上記の調査の分析結果を踏まえて、対策や他の依存症と同様の対応が必要かどうかを検討する方針です。

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